$90kの仕事を捨てた25歳が1人で作ったReelFarm — TikTok自動投稿SaaSが100日で$100k・163日で$200kに到達するまで
Matt Welter が単独で作った、TikTok用のUGC動画・スライドショーをAIで毎日自動生成し予約投稿するSaaS。サイトやアプリへ安く送客できる。$90kの職を辞め、100日で$100k・163日で$200kの累計売上に到達。自分の道具で自分を売る“ドッグフーディング”とXの発信が成長エンジン。
どの痛点を、どう見つけたか
個人開発者もEC事業者も『短尺動画(TikTok)が今いちばん安い集客チャネル』だと分かっている。だが本当の壁は“毎日・複数アカウントで投稿し続ける”運用そのもの——ネタ出し、台本、編集、投稿を人手で回すと数日で燃え尽きる。Matt 自身、自分のYouTube/TikTokを回すためにPythonスクリプトで投稿を自動化していた。その『毎日投稿の地獄を消す』という自分の痛みが、そのままプロダクトになった。
ReelFarm は、TikTok向けのUGC動画やリスト型スライドショーをAIが毎日自動で生成し、予約投稿・公開までを回すSaaSだ。使い方はシンプルで、フック(冒頭の一言)を入れ、AIアバターやプロダクトのデモ素材を選ぶと、AIが台本・スライド・キャプションまで作り、複数のTikTokアカウントへ自動で投稿していく。目的は一貫して『サイトやアプリへ安く送客し続けること』。料金は$19/月から、上位プランでは接続できるTikTokアカウント数が増える。
作ったのは Matt Welter ただ1人。25歳で年収$90kの安定した職を辞め、フルタイムで開発に飛び込んだ。もともとは『分散型ソーシャル分析プラットフォーム』という別の副業を本命にするつもりだったが、うまくいかず、自分が自分のYouTube/TikTokを回すために書いていた“投稿自動化のPythonスクリプト”のほうに需要があると気づいてピボットした。ReelFarm は2024年に着手したが、その年に稼げたのはわずか$4,000。ここからが本番だった。
ピボット後の伸びは速い。本人公表で、累計売上は100日で$100k、163日で$200kに到達。2026年は約$450kを見込むという。すべてソロ・完全ブートストラップで、利用者は1,000人を超えるクリエイターや事業者に広がっている。
ただし本当に効いたのは“作ったもの”より“配り方”だ。Matt は ReelFarm を自分自身に使い倒し(ドッグフーディング)、TikTokのスライドショーで需要とバイラルの型を掴みながら、その過程をX(旧Twitter)で赤裸々に発信した。次章では、この『自分の道具で自分を売る』成長エンジンと、彼がXで語った具体的な集客手順を分解する。
本人の発信(一次情報)
再現できる手順
- 1“当てたい企画”に固執せず、既に効いている副産物(投稿自動化)へ正直に賭け替える
- 2売り物と集客手段を一致させる(自分の道具=ReelFarmで自社集客するドッグフーディング)
- 3反復可能なスライドショーの“型”を1つ確立する(派手なバズより量×一貫性)
- 4複数TikTokアカウントで1アカ2投稿/日(7アカ=14投稿/日)を回して母数を稼ぐ
- 5動画の中身をプロダクト機能に直結させ、最終スライド+link in bioで送客する
- 6Xでは検証可能な収益の節目を、保存(ブックマーク)される手順フォーマットで発信する
順風満帆ではない。Matt が最初に賭けた本命は別の副業(分散型ソーシャル分析)で、そちらは伸びずにピボットを迫られた。ReelFarm 自体も着手した2024年の売上はわずか$4,000。安定した$90kの職を捨てての船出であり、“正直に賭け替える”決断と、当たるまで型を回し続ける我慢がなければ、100日で$100kの数字には届いていない。
深掘り分析
【深掘り】ReelFarm の伸びは、①自分のプロダクトを自分で使い倒す“ドッグフーディング”と、②Xでの徹底した発信、という2つのループが噛み合った結果だ。ソロ・従業員ゼロという制約下で、Matt がどう回したかを分解する。
■ 正直になる:本命ではなく“効いている副産物”に賭け替える Matt が最初に挙げる学びは『自分に正直になれ』だ。$90k職を辞めたとき、彼は別の副業(分散型ソーシャル分析)を本命にするつもりだった。だが数字が伸びたのは、自分の投稿を自動化するために書いていたスクリプトのほう。プライドではなく需要のあるほうへ賭け替える——この“ピボットの正直さ”が全ての起点になった。個人開発者が陥りがちな『当てたい企画』への固執を、彼は早々に手放した。
■ ドッグフーディング:自分の道具で自分を売る ReelFarm は“TikTokで集客する道具”であり、Matt はそれを自社の集客にそのまま使った。プロダクトが生む動画・スライドショーで需要と『刺さる型』を掴み、その型を製品のテンプレートに還流させる。道具の性能改善が自社マーケの改善に直結し、自社マーケの学びが道具の改善に返る——このループが、広告に頼らない安価な成長を生んだ。
■ 公開した具体手順:7アカウント運用の“型” Matt はXで、あるアプリがReelFarmでユーザーを取る手順をそのまま公開している:(1)反復可能なスライドショー形式を1つ確立する (2)1アカウントあたり1日2投稿(=7アカウントで14投稿/日)で母数を稼ぐ (3)動画の中身をアプリの機能に直結させる(例:カップル向けアプリなら“カップルの質問”)(4)投稿の最終スライドでアプリを訴求し、プロフィールのlink in bioへ誘導する。派手なバズ狙いではなく、当たる型を“量×一貫性”で回すのが肝だ。
■ Xマーケ:数字を出し、“ブックマークの型”で書く もう一方のループがX上の発信だ。Matt は『reelfarm hit $100k in 100 days』『$200k in 163 days』のように、検証可能な収益の節目を具体的な数字で出す。彼が繰り返し説くのが“bookmark meta”——Xで伸ばすなら、いいねよりも『保存(ブックマーク)』されるように書け、という主張だ。手順・チェックリスト・分解といった“後で見返したくなる”実用フォーマットが、アルゴリズム上も強い。ビルド・イン・パブリックで信頼と流入を同時に積む、教科書的な動きだ。
■ 価格と収益の質:$19/月から、累計は右肩上がり 料金は$19/月からと、個人でも試せる水準に置いた。公表数字は累計売上型で、$100k(100日)→$200k(163日)→2026年 約$450k見込みと加速している。増分で見ると、100→163日の63日間で+$100k=1日あたり約$1,600のペースで、月次のラン率はおよそ$47kに相当する。安い単価でも、TikTok集客というニーズの普遍性と、上位プラン(接続アカウント数)への自然なアップグレードで積み上がる構造だ。
■ 個人開発者への示唆 再現の勘所は3つ。①“当てたい企画”より“もう効いている副産物”に正直に賭け替える ②売り物と集客手段を一致させ(ドッグフーディング)、道具の改善とマーケの学びを相互に還流させる ③Xでは検証可能な数字を、保存されるフォーマット(手順・分解)で出す。ReelFarm の堀は特定の技術ではなく、この『正直なピボット × 自分の道具で自分を売る × 保存される発信』という運用の総体にある。