AI Dev Cases
aiCarousels

解雇の翌日に10日で作ったaiCarousels — デザイナーが『審美眼』を堀に、退屈なデザインツールのポートフォリオで月$15Kを1日4時間で稼ぐまで

アルゼンチン出身のデザイナーFernando Pessagnoが、解雇を機に休暇中の10日間build-in-publicでAIカルーセル作成ツールaiCarouselsを出荷。約8ヶ月で月$5K・月間8万ユーザーへ。履歴書ツール等と合わせ、デザイン系ニッチのポートフォリオで月$15Kを1日約4時間で稼ぐ。

公開日: 2026年8月10日4分で読了一次情報で検証済み · 5
月商換算
約75万円/月
成長期間
8ヶ月
ユーザー数
8万
ローンチ
2023
Fernando from aiCarousels.comFernando from aiCarousels.com@Fer_MOMENTO解雇の翌日に10日で作ったaiCarousels — デザイナーが『審美眼』を堀に、退屈なデザインツールのポートフォリオで月$15Kを1日4時間で稼ぐまで

この事例の要点

  • レッドオーシャンは『機能』でなく『審美眼』で割る——非デザイナーが貼るだけで垢抜ける“デザイナー品質”そのものを製品化する
  • 磨きすぎず10日で出荷する——解雇の不安を『10日で作って公開する』という自作の締切に変え、最速で“課金”のシグナルを取りにいく
  • build-in-publicを二役で使う——Xで数字を公開して集客し、毎週の“人間味ある”更新メールで解約を防ぎフィードバックを集める

どの痛点を、どう見つけたか

LinkedInやInstagramで伸びる『カルーセル投稿』は、作るのが地味に面倒だ。Canva等でスライドを1枚ずつ整え、文字を流し込み、余白を揃える——非デザイナーには時間がかかるうえ、なかなか垢抜けない。Fernando自身が受託デザイナー10年で『毎回ゼロから整える退屈』を痛いほど知っていた。aiCarouselsはこの摩擦を『テキストを貼るだけでデザイナー品質のカルーセルが出る』一点に絞って消しにいった。既存ツールに残る“結局デザインの素養が要る”という不満が、そのまま市場の入口だった。

背景とプロダクト

aiCarouselsは、テキストを貼るだけでAIがLinkedIn / Instagram / TikTok向けの『カルーセル投稿』を自動でデザインしてくれるWebツール。テンプレートと自動レイアウトで、デザインの素養が無い人でも“垢抜けた”スライド束を数分で作れるのがコアだ。

作ったのはアルゼンチン出身のプロダクトデザイナー、Fernando Pessagno(@Fer_MOMENTO)。アルゼンチンで約10年デザイン受託スタジオを回した後、スウェーデン(Malmö)へ移住。ビザで働く身で、休暇に出る前日に解雇通知を受けるという“最悪のタイミング”に見舞われる。休めるはずもなく、不安を紛らわすために始めたのが『10日間で作って公開する』build-in-publicチャレンジだった。磨きすぎず、2023年5月に出荷。ローンチ初日に5人が課金して$50 MRR、30日で$500 MRRを超えた。

aiCarouselsはProduct Huntで“Product of the Day”9位に入り、以後は毎週の“人間味のある”更新メールでユーザーの声を拾いながら改善。約8ヶ月で月商約$5,000(MRR)、月間8万ユーザー超に達した。粗利率は約95%、初期費用は実質ゼロ——個人開発で再現しやすい経済構造だ。

そして重要なのは、彼が1本に賭けていないこと。aiCarousels(AI)に加え、2018年開始で累計80万DL超の履歴書ツールResumeMaker.Online、スライド生成のGeneratePPT.com、無料のPreviewMyProfile.comなど、『デザイン×明確な検索意図』という同じ型の小さなツールを束で持つ。ポートフォリオ全体では月商約$15,000・累計$50万超を、1日約4時間の労働で回している。派手なバイラルではなく、デザイナーの審美眼と地道なbuild-in-publicで積み上げた“静かな複利”の事例だ。

本人の発信(一次情報)

aiCarousels growth channels and tech stack

再現できる手順

  1. 1レッドオーシャンは『機能』でなく『審美眼』で割る——非デザイナーが貼るだけで垢抜ける“デザイナー品質”そのものを製品化する
  2. 2磨きすぎず10日で出荷する——解雇の不安を『10日で作って公開する』という自作の締切に変え、最速で“課金”のシグナルを取りにいく
  3. 3build-in-publicを二役で使う——Xで数字を公開して集客し、毎週の“人間味ある”更新メールで解約を防ぎフィードバックを集める
  4. 41本に賭けず、『デザイン×明確な検索意図』の同じ型を退屈な実需(履歴書・スライド・プロフィール)へ横展開する
  5. 5無料ツール(PreviewMyProfile等)を有料への入口=ファネルにし、SEOで指名検索を複利で積む
  6. 6自分が10年やってきた領域を選ぶ——当事者だからこそ痛みを製品化でき、当たり判定が速くなる

つまずき・苦労

数字は主に本人のbuild-in-public発信・取材(Starter Story等)に基づく自己申告で、独立した第三者監査ではない(第三者のStartZoneはaiCarouselsを約$4.9K MRRと推定し概ね一致)。ポートフォリオ月$15Kには2018年開始でAIとは無関係のResumeMaker.Onlineの売上が含まれるため、本稿の数値フィールドは主力aiCarouselsのMRR($5K)を保守採用し、$15K・累計$50万超は本文の文脈に留めた。aiCarousels自体もCanva等の大手・多数の類似ツールがひしめくレッドオーシャンで、『審美眼』という堀は模倣されやすく単体では永続しない点に注意。

深掘り分析

【深掘り】aiCarouselsは、Canvaをはじめ無数の競合がひしめく“カルーセル/バナー作成”というレッドオーシャンで生まれた。にもかかわらず個人開発で回せているのはなぜか。順に分解する。

■ デザイナーが選んだ堀は『技術』でなく『審美眼』 aiCarouselsの中身は、AIそのものの凄さで勝っているわけではない。勝負どころは『非デザイナーが貼るだけで、そこそこ垢抜けたものが出る』という“出力の質”だ。フォント・余白・配色・レイアウトという、デザイナーが10年で身につけた暗黙知をテンプレートと自動配置に落とし込み、素人の入力を“プロっぽい成果物”へ翻訳する。機能の多さで殴る大手に対し、Fernandoは『審美眼を製品化する』一点に絞った。個人開発者への含意は明快で、自分が10年培った領域(=自分だけの不公平な優位)を製品に埋め込めば、資本やチームで劣っていても“質”で差別化できる。

■ 解雇の翌日、10日で出荷——“磨かない”という規律 FernandoはaiCarouselsを2023年5月、10日間で作って公開した。ビザで働く身での解雇という強い不安を、『10日で作って公開する』という自作の締切に変換したのがうまい。磨きすぎない・完璧を待たない——だからこそ現実の課金という最速のシグナルを取りにいけた。実際、初日に5人が課金($50 MRR)、30日で$500 MRRを突破。彼が立てた『12ヶ月で$2,500 MRR』の目標は3ヶ月未満で達成された。出荷が早いほど、市場が“本当に金を払うか”を早く知れる——このケースはその教科書だ。

■ build-in-publicを『集客』と『リテンション』の両方に効かせる 多くの人はbuild-in-publicを“集客(認知)”の道具として使う。Fernandoはそれに加えて“解約防止”に効かせた。Xでは数字(MRRの節目)を公開してフォロワーと信頼を積み、同時にユーザーへは毎週、機能追加や修正をまとめた『個人的で人間味のある』更新メールを送る。これがリテンションとフィードバック収集の両輪になり、あるフェーズでは解約率が前月比で下がった。派手なバイラル1発ではなく、“毎週きちんと良くなっている”という体験の積み重ねが、レッドオーシャンでの継続率を支えている。

■ 1本に賭けない——『デザイン×検索意図』ニッチのポートフォリオ Fernandoの最大の特徴は、当てた1本に固執しないことだ。aiCarousels(AI・カルーセル)、ResumeMaker.Online(履歴書・2018〜・累計80万DL超)、GeneratePPT.com(スライド)、無料のPreviewMyProfile.com——いずれも『デザインの素養が要る作業』×『“resume maker”のように検索意図が明確な言葉』という同じ型だ。同じ設計思想を複数の退屈な実需へ横展開することで、単一プロダクト・単一チャネルへの依存を薄め、合計で月$15K・累計$50万超を1日約4時間で運営する“反脆い”構造を作った。1本がコケても全体は倒れない。

■ 無料ツールをファネルに、指名検索を複利で積む ポートフォリオには無料ツール(PreviewMyProfile.com 等)が混じる。これは慈善ではなく“入口”だ。検索意図の強い無料ツールでオーガニック流入と被リンク・ブランド想起を積み、そこから有料ツールへ橋を架ける。SEOで名前が知られるほど指名検索が増え、広告費ゼロでも新規が入り続ける——受託10年で培ったブランディングとデザインの感覚が、そのままマーケティングの複利になっている。

■ 個人開発者への示唆:審美眼は模倣されうる/だから“出荷速度×当事者性×分散” 最後に負の側面も。『デザイナー品質』という堀は、テンプレートやAIの進歩で模倣されやすく、単体では永続しない。だからこそFernandoの型は“堀を1つに頼らない”——出荷の速さ(先に市場に居る)、当事者性(自分が顧客で当たり判定が速い)、分散(複数ニッチ・複数チャネル)を重ねることで、模倣に対する時間を稼いでいる。日本の個人開発者が真似るなら、『自分が10年やってきた退屈な作業』を1つ選び、10日で出荷し、build-in-publicで数字と改善を公開し続ける——ここから始めるのが最も再現性が高い。

よくある質問

aiCarouselsとは何ですか?
テキストを貼るだけでAIがLinkedIn / Instagram / TikTok向けの『カルーセル投稿』を自動デザインしてくれるWebツールです。デザインの素養が無くても、テンプレートと自動レイアウトで垢抜けたスライド束を数分で作れます。
開発者は誰で、どこの国の人ですか?
アルゼンチン出身のプロダクトデザイナー、Fernando Pessagno(@Fer_MOMENTO)が個人で開発しました。現在はスウェーデン(Malmö)在住。約10年のデザイン受託を経て、2023年5月に10日間のbuild-in-publicチャレンジでaiCarouselsを出荷しました。
aiCarouselsは無料で使えますか?料金は?
無料プランがあり、月3カルーセルまで(各最大10スライド)作れます。無制限に使いたい場合はPRO(月$14.95・最大20スライド)にアップグレードします(料金は集計サイトの2025–2026年時点の情報。最新は公式サイトでご確認ください)。

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