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AI Dev Cases
Lancer

自分の受託会社が7年解けなかった課題を製品化 — Ivan NedelkovskiがUpwork案件獲得を自動化するAIエージェント「Lancer」で月$19K超のMRRに達するまで

受託開発会社を7年運営したIvan Nedelkovskiが、自社の「Upwork案件獲得が安定しない」という痛みを解くために作ったAIエージェント。求人発見・適合判定・提案文生成を24時間自動化する。2025年6月ローンチ、外部資金ゼロで月$19,000超のMRRに到達。

公開日: 2026年8月17日3分で読了一次情報で検証済み · 5
月商換算
約285万円/月
成長期間
14ヶ月
ローンチ
2025
自分の受託会社が7年解けなかった課題を製品化 — Ivan NedelkovskiがUpwork案件獲得を自動化するAIエージェント「Lancer」で月$19K超のMRRに達するまで

この事例の要点

  • 自分がずっと解決できなかった痛みをそのまま製品化する(市場調査でなく自分の実体験から逆算する)
  • 有料ツールを売る前に、無料でバイラルな「入口ツール」を作り、それを精密なアウトバウンドの母集団にもする
  • フォロワー数でなく、ニッチの中で信頼されている少数のキーパーソンに直接デモし紹介者に変える

どの痛点を、どう見つけたか

受託開発会社にとってUpworkでの案件獲得は「やるべきことは分かっているのに毎日続けられない」仕事の典型だ——新着求人を24時間張り付いて監視し、応募のたびに提案文を書く。人力でやる限り反応は遅れ、良い案件ほど反応の速い他の応募者に取られる。Ivan自身が7年近く運営した受託会社MVP Mastersで最後まで解決できなかったのが、まさにこの「安定した案件獲得チャネルの不在」だった。

背景とプロダクト

Lancerは、Upwork上の新着求人をAIが24時間監視し、案件を見つけて適合度を判定し、応募者ごとにパーソナライズした提案文を自動で作成・送信するAIエージェントだ。求人が公開されてから10分以内に提案を送ることを一つの売りにしており、これによりクライアントからの返信率を押し上げる設計になっている。ユーザーは週あたり最大10時間、求人監視と提案文作成の作業から解放されるとうたう。

作ったのはIvan Nedelkovski。北マケドニア・スコピエ出身で、大学(コンピュータ工学専攻)を2度中退したのち、2020年に開発受託会社MVP Masters(Naum Shapkarovskiと共同創業)を立ち上げた。同社は7桁ドルの売上・従業員15名規模まで成長したが、Ivan自身が最後まで解決できなかったのが「Upworkでの案件獲得を安定した仕組みにできない」という自社の課題だった。

2025年6月、Ivanはこの自分自身の痛みを解くツールとしてLancerをローンチした。ローンチから3ヶ月で黒字化し、本人がIndie Hackersに投稿した際のタイトルどおり、ローンチ60日以内に月$10,000の経常収益(MRR)に到達。現在は2人体制で運営し、独立トラッカーTrustMRR(Stripe連携)の確認では月$19,000のMRR・直近30日の総収益$25,107(2026年8月時点)まで伸びている。外部資金や有料広告に依存せず、ブートストラップで育てている。

Lancer growth channels and tech stack

再現できる手順

  1. 1自分がずっと解決できなかった痛みをそのまま製品化する(市場調査でなく自分の実体験から逆算する)
  2. 2有料ツールを売る前に、無料でバイラルな「入口ツール」を作り、それを精密なアウトバウンドの母集団にもする
  3. 3フォロワー数でなく、ニッチの中で信頼されている少数のキーパーソンに直接デモし紹介者に変える
  4. 4プラットフォームの中に自ら潜り込み、買い手が集まる場所そのものを集客チャネルにする
  5. 5課金を「使用量」でなく「成果(返信・リード)」に連動させ、試す側の心理的ハードルを下げる

つまずき・苦労

数字は本人談(Starter Story取材)とTrustMRR(Stripe連携の独立トラッカー)がおおむね近い範囲にあるが、いずれも最終的には本人(自己申告、および本人がStripeを接続した外部トラッカー)に遡る情報で、完全に独立した第三者監査ではない。共同創業者の有無についても、本人のLinkedIn上のLancerに関する肩書は「Founder」(単数)だが、Starter Storyでは「2人体制のチーム」とも紹介されており、正式な共同創業者が別途いるのかは確認できていない。料金の正確な金額(プラン別月額・従量部分)も情報源によって記載が食い違うため、本記事の数値フィールドには含めていない。

深掘り分析

【深掘り】Lancerがゼロから月$19K超のMRRに伸びるまでにたどった集客の型を、順を追って分解する。TikTokのバズも有料広告も使わない、B2Bニッチならではの再現可能な設計だ。

■ 自分がずっと解決できなかった痛みをそのまま製品化する Ivanは受託開発会社MVP Mastersを7年近く運営しながら、最後まで「Upworkでの案件獲得を安定させる」ことができなかった。新着案件を人力で監視し提案文を書く仕事は属人的で、良い案件ほど反応の速さで負ける。Lancerは、この自社が抱え続けた課題を外部の市場調査ではなく自分自身の痛みから逆算して作った点が出発点になっている。だからこそ「求人発見から10分以内に提案を送る」という、スピードそのものを価値の核に据える設計判断ができた。

■ 「無料の入口」を先に作ってからセールスする(UpworkMRR) Lancerの集客で最も特徴的なのは、有料広告の前に無料の姉妹ツール「UpworkMRR」を用意したことだ。これはUpwork上の30万人超のフリーランサーの収益をランキング化して見せる、無料でバイラルなツール。求人獲得ツールをいきなり売るのではなく、まず「見るだけで面白い」無料のデータベースをコミュニティに提供し、話題と流入を作った。同時にこのデータは、どのフリーランサー・エージェンシーが実際にUpworkで稼いでいるかを特定できる材料にもなり、精度の高いアウトバウンド(コールドアウトリーチ)の元データとしても機能した——集客ツールと営業リストを、1つの無料プロダクトで両取りした形だ。

■ 「Upwork Experts」に直接デモし、紹介者に変える 次に効いたのが、Upworkコミュニティの中で他のフリーランサーやエージェンシーの案件獲得を助ける「Upwork Experts」と呼ばれる存在に狙いを絞ってデモを行ったことだ。彼らはUpworkでの成功請負人であり、影響力を持つノードにあたる。実際にLancerを見せて使ってもらったところ、彼ら自身が自分のクライアントに対してLancerを「案件獲得の解決策」として推薦するようになった。フォロワー数の多い一般インフルエンサーではなく、ニッチの中で信頼されている少数のキーパーソンに絞ったのが再現可能なポイントだ。

■ プラットフォームそのものを集客チャネルに変える さらに徹底しているのが、Upwork上に「Upwork Bidding」専門を謳う新規フリーランサープロフィールを自ら作り、「手動で入札作業をしてくれる人」を探している求人に応募するという手法。そこでLancerというツールの存在を紹介し、実演販売のようにクライアントを獲得した。SNSで宣伝するのではなく、売りたい相手が実際に集まっている場所(Upwork自体)に潜り込んで直接会いに行く発想だ。

■ 課金は「使った量」でなく「返信が来たかどうか」に連動させる 価格設計も一貫している。他社のUpwork向けツールの多くは、求人スキャン数・提案送信数・AIトークン消費量など「使った量」に応じて課金するが、Lancerは実際にクライアントから返信が来た案件(リード)に対して課金する設計を採る。使っても成果が出なければ課金されない仕組みは、ツールを試す側の心理的ハードルを下げ、「使うほど損をする」という不安を消す。

■ 数字は保守的に読む 本人はStarter Story取材で「ローンチから2ヶ月でMRR$10K、現在は$20K規模」と語っている。一方、Stripeと連携した独立トラッカーTrustMRRの直近確認では、月次経常収益(MRR)$19,000・直近30日の総収益$25,107。本人談と独立トラッカーの数字はおおむね近い範囲にあり、単月のブレを別にすれば信頼できる水準と読める。ローンチ(2025年6月)から約14ヶ月、2人体制・外部資金ゼロでこの規模に達している。

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