AI Dev Cases
Puff Count

コードを1行も書かずに2度exitした男 — 非エンジニアSteven Cravottaが禁煙アプリ「Puff Count」を$40K MRRまで育てて売却するまでの型

自分でコードを書かない(AIにも書かせない)非エンジニアのSteven Cravottaは、開発をUpwork等に全外注し「95%はマーケティング」に賭ける。禁煙アプリPuff Countを数百本のオーガニックTikTokで$40K+ MRRへ育て、2024年に大手アプリスタジオへ売却。Wordle!に続く2度目のexitだ。

公開日: 2026年7月31日4分で読了一次情報で検証済み · 3
月商換算
約600万円/月
ローンチ
2021
StevenSteven@StevenCravottaコードを1行も書かずに2度exitした男 — 非エンジニアSteven Cravottaが禁煙アプリ「Puff Count」を$40K MRRまで育てて売却するまでの型

この事例の要点

  • 作る前に「既に稼いでいる競合」をSensor Tower/Google Trendsで探す(需要をゼロから賭けず、実証済みの市場に入る)
  • コードは書かない・書かせない:開発はUpwork、UIは99designsに外注し、時間の100%を『何を作るか/どう売るか』へ
  • 有料広告ゼロ。バイラルした既存動画の“型”を真似たオーガニックTikTokを数百本量産し、当たった型を回す

どの痛点を、どう見つけたか

禁煙・禁ベイプは「やめたいのにやめられない」万人共通の依存。既存の禁煙アプリは説教くさく続かない一方、市場には既に課金しているユーザーがいた。Cravottaはこの『既に稼いでいる競合がいる=需要が実証済み』のレッドオーシャンを、あえて痛点の入口に選ぶ。ゼロから需要を賭けるより、既に金が落ちている所で“少しだけ良い体験”を作るほうが速いからだ。

背景とプロダクト

Puff Countは、ベイプ(電子タバコ)をやめたい人のための禁煙アプリ。吸った回数を記録し、目標日を決めて少しずつ本数を減らし、最終的にやめる——というシンプルな体験に絞られている。作ったのはSteven Cravotta。ここで重要なのは、彼が『コードを書かないアプリ開発者』だという点だ。エンジニアでもなく、AIにコードを書かせる“バイブコーディング”派でもない。開発はUpwork、UIデザインは99designsで外注し、自分は『何を作るか』と『どう売るか』だけに集中する。

彼の口癖は「アプリの成功の95%はマーケティングだ」。だからアイデアの選び方も逆算されている。ゼロから新奇な市場を賭けるのではなく、Sensor TowerやGoogle Trendsで『既に稼いでいる競合がいる』ことを確認してから参入する。禁煙・禁ベイプはまさにそれ——需要が実証済みのレッドオーシャンだった。検証を通ったら$5,000以下でMVPを外注し、素早く出す。

集客の主戦場はTikTok。有料広告は使わず、バイラルしている既存の禁煙・ベイプ関連動画の“型”を研究し、それを真似た短尺動画を数百本という単位で量産した。当たった型を回し続けることで、CACゼロのままユーザーを積み上げる。収益化はハードペイウォール(機能に触れる前にトライアル→$9/週へ課金)で、SuperwallでA/Bテスト、RevenueCatでLTVを計測して数字で詰めた。

こうしてPuff Countは月商$40K超(MRR)に達し、2024年に大手アプリスタジオへ売却された。彼にとってこれは2度目のexitだ。1度目は、18歳のときに作った同名の別アプリ『Wordle!』——2022年にNYTのWeb版Wordleが大流行した際、名前を勘違いしたユーザーが彼の古いアプリを大量DLし、棚ぼたの収益が発生した。彼はそれを$50,000寄付し、後にアプリ自体をAppLovinへ譲渡した。『幸運の棚ぼた』と『再現できる型』を切り分けられる冷静さが、この人物の核にある。

本人の発信(一次情報)

Puff Count growth channels and tech stack

再現できる手順

  1. 1作る前に「既に稼いでいる競合」をSensor Tower/Google Trendsで探す(需要をゼロから賭けず、実証済みの市場に入る)
  2. 2コードは書かない・書かせない:開発はUpwork、UIは99designsに外注し、時間の100%を『何を作るか/どう売るか』へ
  3. 3有料広告ゼロ。バイラルした既存動画の“型”を真似たオーガニックTikTokを数百本量産し、当たった型を回す
  4. 4ハードペイウォール($9/週・トライアル先出し)+ SuperwallでA/B・RevenueCatでLTVを計測し、転換率と継続を運用で上げる
  5. 5アプリを『育てて売れる資産』として設計し、勝ったらexitして資金と信用を次の大勝負へロールアップする
  6. 6棚ぼたの幸運(Wordle!)を実力と勘違いせず、再現できる型だけを淡々と磨く

つまずき・苦労

彼の出発点『Wordle!』の収益は実力ではなく偶然だった——18歳で作った古いアプリが、無関係なNYT版Wordleの流行で名前を勘違いされ大量DLされただけ。Cravottaはその棚ぼたの$50,000をオークランドの非営利Boost!へ寄付し(NYT版の作者Josh Wardleと合意の上)、後にアプリをAppLovinへ譲った。幸運を“自分の型”と混同しない規律が、運任せでないPuff Countのexitに繋がっている。

深掘り分析

【深掘り】Steven Cravottaの本当の価値は「禁煙アプリを当てた」ことではなく、“コードを一切書かない人間が、アプリを資産として作り→売る”という反復可能な型を確立している点にある。順に分解する。

■ 型1:作る前に「既に稼いでいる競合」を探す(=需要の逆算) 多くの個人開発者は『誰も作っていない新しいもの』を探して沈む。Cravottaは逆で、Sensor TowerやGoogle Trendsで“既に課金ユーザーがいる”カテゴリを特定してから入る。競合が稼いでいる事実は、市場調査の何百時間分より確実な需要のシグナルだからだ。禁煙・禁ベイプはその典型。彼が加えたのは発明ではなく『少しだけ良い体験と、圧倒的に上手いマーケティング』だった。学び:レッドオーシャンは避ける対象ではなく、需要が保証された入口になり得る。

■ 型2:コードを書かず、“何を作るか/どう売るか”に100%を割く 彼はエンジニアではないし、AIにコードを書かせるバイブコーダーでもない。開発はUpwork、デザインは99designsに外注し、MVPは$5,000以下で仕上げる。これが効くのは、個人開発者のボトルネックが多くの場合『実装』ではなく『売れるものを選び、売り切る』側にあるからだ。実装を他人に任せることで、彼は自分の時間を最も付加価値の高い意思決定——アイデア選定とマーケティング——に集中投下する。「95%はマーケティング」という彼の言葉は精神論ではなく、リソース配分の設計思想だ。

■ 型3:有料広告ゼロ・オーガニックTikTokを“数百本”量産する 集客の心臓部はTikTok。ただし『バズる動画を考える』のではなく、既にバイラルしている禁煙・ベイプ動画の“型”(フック・尺・見せ方)を研究し、それを真似た短尺を数百本という物量で投下する。当たりが出たらその型を繰り返す。有料広告に頼らないことで、(1)CACゼロで需要と刺さる見せ方を同時に学べる (2)当たった型は他クリエイターにも横展開できる、という複利が効く。本人が売却告知で「Hundreds of organic TikToks(数百本のオーガニックTikTok)」と明言している通り、これは思いつきではなく物量戦だ。

■ 型4:ハードペイウォール×SuperwallのA/B×RevenueCatのLTV計測 収益化は“機能に触れる前にトライアル→$9/週”というハードペイウォール。ここでSuperwallを使って価格・画面・見せ方をA/Bテストし、RevenueCatでLTVと継続率を数字で追う。安いアプリ単価でも、転換率と継続を運用で上げれば月商$40Kは成立する。作りっぱなしにせず『どの画面をどの順で見せれば課金に至るか』を計測ドリブンで詰めるのが、$40K MRRとその先のexit評価額を支えた土台だ。

■ 型5:勝ったら“売る”——アプリを資産として設計し、次の大勝負に回す 最大の差別化がこれだ。多くの個人開発者は当たったアプリを持ち続けて運用に埋もれる。Cravottaは違い、Puff Countを大手アプリスタジオへ売却した(本人2度目のexit)。事業を『育てて売れる資産』として最初から設計し、exitで得た資金と信用を次の大勝負——ブランドとクリエイターを繋ぐマーケットプレイス『Posted』(2024年7月ローンチ・無資金)——へロールアップしている。個人開発者にとっての示唆は明快で、“1本のアプリに一生を捧げる”必要はない。作る→売る→次、という資本回転そのものを戦略にできる。

■ 幸運と型を切り分ける冷静さ 最後に、彼の原点である『Wordle!』の逸話が示すのは、幸運の扱い方だ。18歳で作った古いアプリが、無関係なNYT版Wordleの流行で偶然バイラルし収益が発生したとき、彼はその$50,000を寄付し、アプリをAppLovinへ譲った。棚ぼたを“自分の実力”と勘違いせず、再現できる型(型1〜5)を淡々と磨く——その規律こそが、運任せでない2度目のexitを生んだ。

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